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久しぶりの書き込み。今日はちょっと「アウトサイダー」の周辺事情を書いてみます。 ぼくの「アウトサイダー(第一部大地に臨むものたち)」は、もうずいぶん昔に発表した作品。メインの舞台は一応今から千年ほど未来なので、登場する小道具にはずいぶん気を遣った。 昔の時代に書かれたSF作品なんかを読むと、時代がすぐに想像を超えてしまうことがままある。そんな目に遭わないように、二、三十年では追いつけないような小道具を考えたわけです。 当時は小林・益川理論の6種のクォークはすべて見つかっていなかった。素粒子の標準理論としては他を圧倒して最有力候補でしたけど。あくまでも理論の段階。 そこで外野席の勝手な空想。物理学の階層性からすれば、この理論ですべてが解明されるとは思えない。「アウトサイダー」では、遠い未来では素粒子の謎がもっと深く解き明かされ、リションと時空格子という概念で、量子力学の深層が語られる時代になっているだろうと想定した。どちらもぼくの勝手な創造物です。 ただし、リションというのは、クォークと同じ時代に(たしか)インド系の理論物理学者が提唱した素粒子モデルに実際に使われていた名称。クォークのように標準理論には至らず、他のさまざまな理論とともに消えていったものです。惜別の思いもあって、リションという名称だけ借りてきたんですね。 ぼくのイメージの中では、強い素粒子(ハドロン)を構成する6種のクォーク、弱い素粒子を構成する6種のレプトン、4つの力を媒介する4種のゲージ粒子、それらすべてに共通するさらに深い階層の素粒子(もはや素粒子とは呼べない超微粒子)が、遠い将来では見つかっているんじゃないかな、と。 それを説明するのが(ぼくの脳内の)未来のリションモデル。新しい発見に古い時代の言葉を再利用するのは科学界ではよく行われることなので、未来の科学者がリションを蘇らせたら面白いなと思ったんですね。(自己満足的な遊びですが) てなわけで、慎重に小道具を選んだおかげか、超多面体とかベクトル時間理論とか、「アウトサイダー」で用いた想像上の科学理論は、ありがたいことに今でも使えます。第二部を描くとき困らなくてすみそう、かな。 でも、やっぱり実現しちゃったものもあるんですね。 一番びっくりしたのは、空中都市の街作り。人工的な街に自然を組み込むために、多重階層の間に木々の茂る町並みを考えたんですけど・・・ 今、イオングループなどのモール街の構造や、大規模マンションにそっくりな風景が・・・ はじめてモール街を歩いたとき「あ、これ、ぼくの空中都市だ」と思いました。昔、いっしょに本を作っていた建築学部のH氏から、ぼくの描くマンガの建物の構造が「建築学的に正しい」とほめられたことがあった。そのときはふうん、という感じだったけど、こういうことだったのかな、と納得。似たようなこと考える建築家がいるものです。 それから、最近流行ってきた電子本。ヨーロッパ発信の電子機器で、Macのipadがそれをカバー。 これも「アウトサイダー」に登場するんですね。 当時はまだ液晶の技術が登場したばかり(ぼくの持っていたカシオの計算機は表示部が液晶じゃなかった)だった。新聞なんか電子情報にして薄っぺらい表示板に書かれる時代がそのうちくるだろうと、時間局から受け取る連絡は有機ELのシートにしたんだけど。追いつかれちゃったなあ、これは。 それから、作品には出てこない裏事情だけど、時間局で利用する「超多時間スクリーン」の名称は「プラズマスクリーン」という設定でした・・・いまやその名前を冠したテレビが売られているので、もうこの名称は使えません。(使わなくてよかった。いい勘してたなあ) 生活に直接関わる小道具はどうしても現実の進歩に負けちゃう。これは運命ですね。 携帯電話だって、当時はなかったけど、もうウルトラマンの頃からもっとコンパクトな無線連絡装置が使われていたものね。 久しぶりで長くなってしまいました。もっと短い文章を何日かにわけて書くべきなんでしょうけど。ごめんくだされ。 イラストはGRANA「黄金のウェストリア」から。謎の錬金術師ヴェガ。結構お気に入りのキャラで、他の作品に彼のイメージを流用しています。こちらは未発表。 なかなか「アウトサイダー」の図版が載せられなくてすみませぬ。 |
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